三次元立体解析、きいぷらん

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三次元立体解析、木造の構造計算、構造設計

2014年8月19日火曜日

木造混構造の基準、500m2まで適判を免れる計算ルート

木造の混構造の計算ルートについて記事です。

RC、鉄と木造を階別に混構造とした建築物は法第20条第二号の政令で定める建築物、

令第36条の2五号に該当し、適判案件として取り扱われます。

しかし告示平成19年593号に適合する建築物については適判を免れることが可能です。

木造とRCを併用する場合の適判を免れる基準は告示平成19年593号四号に示されており

ここではその内500m2以内までの計算ルート(告示平成19年593号四号イ)を記事にします。


計算ルートは以下の基準を満たすことで適合判定を免れることが出来ます。

(1)(ⅱ)地階を除く階数が2または3で1階をRC造とし、2階以上を木造としたもの

もしくは

(1)(ⅱ)地階を除く階数が3で1階2階をRC造とし、3階を木造としたもの

(2)  高さが13m以下、軒の高さが9m以下

(3)  延べ面積500㎡以下

(4)  地上部分について層間変形角の確認

(5)、(1)(ⅰ)に該当する物は木造部分の剛性率を確認

(6)、(1)(ⅱ)に該当する物はRC部分の剛性率を確認

(7)  地上部分の偏心率が0.15以下であることを確認

(8)  RC造部分について、昭和55年告示第1791号第3第一号イロハに適合

 イ、壁量の確認、 Σ(2.5αAw ) + Σ(0.7αAc ) ≧ 0.75 Z W Ai

 ロ、設計用せん断力に対する確認、 QD = min { QL + nQE , QO + QY }

 ハ、塔状比≦4の確認

(9)  木造の部分について、昭和55年告示第1791号第1に適合(水平力割増の検討)

 一号、筋交いの割合に応じて地震力をβ割増(地震力を筋交いで100%受ける時はβ=1.5)

 二号、 筋かいに木材を使用したものについては、筋かいの端部又は接合部に木材のめりこみの材料強度に相当する応力が作用する場合において、当該筋かいに割裂き、せん断破壊等が生じないことを確かめること。

三号、筋交いに木材以外を使用した時は軸部の降伏時に接合部が破壊しないことを確認

 四号、塔状比≦4の確認

 五号、必要がある場合において、柱、はり又はこれらの接合部が、割裂き、せん断破壊等によってある急激な耐力の低下のないことを確かめる。


二号、五号については少し曖昧でどの様なケースを想定しているのか読み取りが難しいですね。

その他に住宅で木造3階建てに当たる物は木3の基準に適合のこと

記事:木造3階建て住宅に求められる基準法的性能

木造部分のAiについては2007年版建築物構造関係技術基準解説書6.6.2.(3)を参考に

∑W1階>2×ΣW2階のとき、ΣW1階=2×ΣW2階とすることが出来る。

2014年8月18日月曜日

木造3階建て住宅に求められる基準法的性能

木造3階建て住宅の建築物(以下木造3階)には基準法に定められた構造計算が

必要になります。

木造の場合仕様規定が複雑にからみルート表だけでは示されていない構造計算が

必須となりますので記事にしてみました。


1.法6条の二号建築物より、木造の建築物で3以上の階数を有する物は法20条三号が

 適用され構造計算が必要


2.令36条の3から48条の仕様規定

  ●通常木造3階の柱の小径は構造計算をして細長比150以下を確認しますので

   横架材間距離が適用となるかは確認

  ●令46条の筋交いを設けない場合(主にラーメン構造等)は適用外を利用して

   46条の2項一号、又は二号の基準を満たす。

   ▽46条2項一号イ、木材の基準
    (告示昭和62年1898号よりJAS集成か15%乾燥JAS無垢材)

   ▽46条2項一号ロ、基礎の緊結

   ▽46条2項一号ハ、構造計算の基準
    (告示 昭和 62 年 1899 号より層間変形角1/200もしくはCo=0.3、
     偏心率0.15以下もしくは偏心率0.3以下で地震力割増)


3.令81条3項より許容応力度計算、令第82条の4の屋根ふき材の検討


4.法27条より準耐火建築物の必要あり、よって令第109条の2の2より層間変形角を1/150に


5.軒高9m、最高の高さ13mを超える場合は適判扱い


記事はざっと概略です。

仕様規定など細かい内容は各法基準参考にされて下さい。


記事、一級建築士事務所、きいぷらん

木造の重量床衝撃音遮断性能について備忘録

木造の重量床衝撃音遮断性能について調べることがありましたので備忘録です。

主に木造の納まりでの重量床衝撃音遮断性能の仕様です。

リンクを貼ってますので詳しい仕様は各ページで確認して下さい。

重量床衝撃レベル65以上の性能を中心に集めました

重量床衝撃レベルの求められる水準は日鉄住金テクノロジー広畑事業所環境営業部

のページが参考になります。

日本建築学会の等級基準
日鉄住金テクノロジー広畑事業所環境営業部
http://www.nittech.co.jp/E09/E0911.html


日本木材技術センター、木造3階建共同住宅の研究開発事業報告書H6年3月
L-60~70程度、各仕様有り


吉野石膏タイガーフロアシステム
LH-64
フローリングt12+タイガースーパーハードt12.5+サウンドカット+合板t12+グラスウールt50+PBt9.5
LH-58
フローリングt12+タイガースーパーハードt12.5*2+サウンドカット*2+合板t15+グラスウールt50+PBt12.5*2
LH-61
フローリングt12+タイガースーパーハードt12.5+アスファルト系遮音マット8mm+合板t15+グラスウールt50+PBt12.5*2
旭化成ユカテック ALC36mm
重量床衝撃音レベル重量LH-65
遮音フローリング+ALC36+合板t12+防振吊り木+PBt12
http://www.asahikasei-kenzai.com/akk/pb/03/yukatech/product/data/index.html


クリオン床大将ALC35mm
重量衝撃音に対してLH-65、軽量衝撃音に対してLL-55
カーペットt9+ALC35+合板15+ロックウールt50+天井PBt12*2
http://www.clion.co.jp/alc/lineup04/yuka/index.html


実大火災実験を実施した木造3階建て学校の床衝撃音遮断性能(1)
J-1、Lr-66、2重床+ALC75+合板28+天井PBt12.5+ロックウールt9
J-2、Lr-63、2重床+ALC75+合板28、天井なし
J-3、Lr-69、AL75、天井なし
http://www.kenken.go.jp/japanese/research/lecture/h24/pdf/P3_P.pdf


住友金属鉱山シポレックス、静、閑ALCt35
LH-65
仕上げ材+ALCt35+合板t15+ロックウールt50+PBt12*2
http://www.sumitomo-siporex.co.jp/data/download/catalogue/SB_PU-017-15.pdf




2014年8月16日土曜日

木造の基準法に定められてない床倍率について

品格法に定められている床倍率ですが建築基準法では言及されません。

この品格法で定められている床倍率が考慮されてない場合、構造上どの様な弱点となるか

考えてみたいと思います。


品格法上の床倍率の検討とは簡単に

床倍率と必要床倍率と比較して床倍率が勝っていればok

との判断となっています。

詳しくは省略しますが耐力壁で挟まれる床組み又は屋根組が一定の強さ以上になる様に

基準を定めています。



この床倍率が満たさない場合、床が柔らかいものとなり、想定されている建物の変形性能を

満たさないとのことになります。

一般的に地震時の木造の変形量は概ね階高の1/120程度と考えられています。

これは施工令82条の2の変形角を計算する場合のかっこ書き「地震力による構造耐力上

主要な部分の変形によって建築物の部分に著しい損傷が生ずるおそれのない場合に

あっては、1/120」から来ており、これを下回る場合は中地震時に仕上げに損傷を

与える恐れがあることを示しています。

※変形角に関しては木質径耐力壁形式構造に関するQ&Aを参考にしました。


つまり床倍率を満たさない場合は中地震時になんらか仕上げに損傷を与える可能性が

あることを示唆しています。



基準法上ではこの床倍率が定められてません。

極論壁線間距離が10m飛ぼうが20m飛ぼうが基準法上はokとのことになってしまいます。

私の過去の経験から金属屋根だと概ね5m程度、2階床だと4m程度が基準法で

対応出来る壁線間距離の限度だと感じています。


壁線間距離が飛ぶ場合、床屋根仕様が柔らかい場合には設計上注意が必要と考えられます。


また床倍率で対応出来ない壁線間距離の場合でも計算して変形量を確認することで

対応可能な場合がありますのでご相談を頂けますと幸いです。


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木のプランパートナー
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木造の耐火、準耐火建築物のフローチャート


本フローチャートは木造建築物が建築可能であるかを大まかに検討するものです。

燃え代設計は木材を露出する場合又は防火材料等によって被覆されない場合に適用されます。

 準耐火要求であっても木材が防火材料により被覆されれば燃え代設計の必要はありません。

燃え代設計に使用する木材はS62年建告1898号により集成材JAS製品もしくは
 
 無垢材でJAS製品の目視等級区分の材又は機械等級区分の内、

 含水率15%の乾燥材の必要があります。

また、木材は可燃物です。

 手を加えない木材の素材では耐火、準耐火設計は出来ても

 難燃、不燃、準不燃材料とはなりませんのでご注意下さい。

 不燃等が必要な場合は大臣認定を取得した不燃木材等を使用する必要があります。

フローチャート

 本フローチャートは条件により3項目に大別しました。




1.特殊建築物による設計フロー(PDF)

2.防火地域による設計フロー(PDF)

3.規模制限による設計フロー(PDF)


 この全てをクリアーすることで防火設計での建築が可能となります。

 検討の際にご利用下さい。

ざっくりと説明しますと

1.特殊建築物によるフロー

  いわゆる特殊建築物、特建に関するフロー

  特殊建築物で一定規模以上に該当すると準耐火若しくは耐火設計が必要となります。

  木造3階はこのルートに分類され耐火要求を緩和した準耐火要求が求められる。


2.防火地域による設計フロー

  防火地域、準防火地域内に当たる建築物に対するフロー

  それぞれの地域内で規模制限が存在しています。

  特に防火地域内では制限が厳しく、木造とするには適さない地域とも言えます。

  例:準防火地域内で1500m2を超える場合には耐火建築物の要求あり。


3.規模制限によるフロー

  特殊建築物、防火地域に関わらず一定規模以上になる場合は耐火、準耐火要求が

  発生します。

  特に3000m2を超える場合は耐火要求が発生する為、RCの建物を挟む等で

  別棟扱い等の計画を考える必要があります。

  参考:3000m2を超える建築物の木造化

  又、1000m2を超える場合に当たっても準耐火要求が発生する為、ローコストを

  目指す場合には一定の構造上の工夫が必要となります。


また、きいぷらんではこの様な防耐火基準による木造化に向けた相談も受け付けております。

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2014年8月11日月曜日

耐火性能検証法

耐火性能検証法とは

木造建築物に耐火性能が求められた場合に於いて所定の基準を満たすことで

木造耐火建築物として建築可能とする方法。

大臣認定ルートとはせず確認申請で建築可能な手法である。

2013年12月時点に於いてこのルートによる建築はそれ程多くの例が無い。

このルートが使用されない主な理由として、求められる所定の基準が厳しいことにあり、

仕上げを不燃材料とすること

室の用途によって決まる床面積辺りの発熱量が決まっていること

開口部を相当な面積で多く設ける必要があること

柱梁の小径が20cm以上必要であること

等が挙げられる。

厳しい基準をクリアーすることで建築可能となるが用途や機能が制限されたり

金額が折り合わない等で実現が難しい物となっている。


他に木造耐火建築物を実現する方法として

鉄骨を内蔵した木材、木材を不燃ボードで囲んだ集成材等の大臣認定の木質系耐火構造材を

使用する。

社団法人日本木造住宅産業協会発行の木造軸組工法による耐火建築物の設計マニュアル

(施工者、設計者共に講習を受ける必要あり)等がある。


耐火性能検証法によるルート表

PDFダウンロード


その他個別案件につきましてはきいぷらんで相談を受付ております。

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準耐火構造、燃え代設計

燃え代設計について

建物に準耐火構造が求められた場合、木造躯体を露出させる時は露出させた木材に対して

燃え代設計が求められる。


簡単に

S62年建告1901号より

柱、梁の継手仕口で表面3.0cmを除く部分が応力を伝える構造であること

継手鋼材(ドリフトピン等も含む)が木材に被覆されていること

S62年建告1902号より

柱、梁で表面3.0cmを除く木材の短期許容応力度が長期応力度以上であることが求められる。

応力度を計算によって出す必要がある為、構造計算が必要となる。


又、施行令109条の2の2より地震時層間変形角を1/150以内とする必要がある。


使用する木材は昭和62年建設省告示第1898号より

JASの集成材、構造用単板積層材

若しくはKD15、JAS無垢材

が求められる。


各燃え代断面は耐火時間により異なる。

簡単に

30分、無垢材30mm、集成材25mm

45分、無垢材45mm、集成材30mm

60分、無垢材60mm、集成材45mm

の燃え代断面が必要となる。


燃え代時間の一例

法21条より軒高9m最高の高さ13mを超える場合、30分準耐火

法第2条第7号の2の規定に基づく場合(準耐火構造)45分準耐火

施行令第115条の2の2第1項第一号の規定に基づく場合
(法第27条第1項ただし書3階建て共同住宅)60分準耐火

その他個別案件につきましてはきいぷらんで相談を受付ております。
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構造計算ルートについて

構造計算ルートについて

木造で構造計算が必要な物について投稿です。

木造で確認申請時に計算書が必要な物は下記になります。

1.木造3階建て

2.500m2超

3.軒高9m,もしくは最高の高さ13mを超える物

4.燃え代設計(断面算定と層間変形角の確認)

5.畜舎等で令46条の筋交い計算を行わない物

6.筋交いが令46条の基準を満たさないもの(偏心率の確認等)

7.基礎の仕様規定によらない場合(基礎のみの計算)

等です。

その他個別案件につきまして相談を受付ております。
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木造適合判定ルートについて

木造適合判定ルートについて

木造で適合判定が必要な物について投稿です。

木造で適合判定が必要な物はざっくりと下記の建物となります。

1.軒高9m超もしくは最高の高さ13m超

2.立面混構造(1階をRC鉄、2階を木造等)
 立面混構造は3000m2以下であれば一定の条件下
 地震力を割ります等で適合判定を免れます。

3.体育館等の屋根のみ木造(規模に関係なく適判案件)

4.計算をルート2とした物



平面混構造は法改正により適合判定案件には当たらないですが一体の建物の内1棟でも適合判定案件であればルート1であっても適判案件になる場合がある様です。

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